仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
(……本当に食べられてるみたい)

 こくりと喉が鳴る。

 和孝さんは舌ばかりでなく手まで遠慮がなかった。慣れた様子であっさりと寝間着を剥ぎ取ると、私の身体を隠していた下着もすぐに奪う。

 ベッドの上で、そして和孝さんの目の前で生まれたままの姿にさせられるのは初めてではない。それでも私はいつもこの瞬間に緊張していた。

「あ、あんまり見ないで」

「こんなにかわいいのに?」

 やだ、と小さな声が漏れたけれど、こういうときの和孝さんはとても意地悪で、まったく聞いてくれない。

「紗枝さんがかわいいから、毎日欲しくなるんだよ」

 この人は徹底的に私をおかしくさせたいようだ。そうでなければ、毎日欲しくなるなんていう耳を覆いたくなるような恥ずかしいセリフを平気な顔で言えるはずがない。

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