仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 このままベッドの上で気絶しても私はなにも悪くないだろう。それだけの熱と恥ずかしさを、短時間で一気に刻んでくる和孝さんが悪い。

「かず、たかさん」

 いつも流されてしまう自分に呆れつつ、行為を続けようとする和孝さんの名を唇に乗せる。

 顔を上げた和孝さんが私を見た。そして、ふっと微笑む。

「今夜は優しくしてあげられないと思う」

 近付いてきた唇は私の耳に触れて、痺れるようなキスを残した。

「普段と違う匂いがすると、こんなに興奮するんだな」

 うぐっと喉が詰まって息ができなくなった私には構わず、和孝さんは耳から首筋へ、そして肩から鎖骨へとキスを落としていく。

 今日も私の完敗だった。


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