シンクロニシティ【中学生日記】
 今日もまた暑い一日だった。
 こんな時は薄暗い廊下が気持ちいい。学校中で唯一、ヒンヤリしてる場所。校舎北側に位置しているためなのだろうか。

 もう皆んな帰ってしまったので、廊下はシンと静まり返っていた。そこを通り、オレは昇降口へと向かう。

 校舎の玄関を出たところで、スニーカーの踵がまだ収まりきっていないことに気づいた。つま先をトントンと蹴り、靴を履きながら歩く。

 ん?自転車置場に誰かいる……
 ひとりションボリ立っている女子がいた。 

 奈緒? 奈緒ちゃんだ! 
 そうだ、今がチャンス。国語のテストの話題を振ってみよう。

「ヤッホー、オツカレー。今、帰り?」
 遠慮がちに声を掛ける。

「あ、テツローくん!ちょうどよかった!」
 振り向きざまの顔が、パッと輝いて見えた。
 よし、今だ。

「あのさぁ……」「あのね……」

 オレと奈緒は、同時に何かを話しだそうとしていた。
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