寄り添って、そっと手を繋ごう

「おはようございます」

私が挨拶をしながら入ると、それまで騒がしかった体育館は一度しん…と静まる。
そして悪意の視線をいくつか感じたあと、また元の賑やかさに戻っていく。

体育館の端に荷物を置き、その近くで練習開始時間まで各々昨日見たドラマの話だとか、今度の夏祭りの話だとか、お喋りをする人がいたり、ボールを持って打ち込む人がいたり、自由な雰囲気で過ごしている。

私はいつもどおり、どの輪にも入らない。…正確には、入る場所がない。

だから、なんとなくぼーっと過ごすだけ。

イジメ、というのだろうか。
直接殴られたり蹴られたりしたことはない。あるのは、無視や悪口と少しの物への被害。世のイジメはもっと酷いものだと聞くから、私のこれは全然マシなんだろう。だから、これを“イジメ”と定義していいものか、正直わからない。
部活動の時間が、苦痛な時間であることには変わらないけれど、呆れてしまったからなのか、開き直っているせいなのか、耐えられないわけじゃなかった。
だから、こうして部活にはちゃんと参加している。

それに、普段は教室で何事もなく過ごしているから、私はまだ腐らずにいる。

< 14 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop