寄り添って、そっと手を繋ごう

「今日は、2人1組パス練から〜!」

コーチの呼びかけでわらわらと動き出す。バスケットボールという競技の特性上、こうして数人で組んで練習をすることが多い。人数が合わないと決まってあぶれるのは私。
ぴったりの人数がいても、私とは組みたがらないのが常。

するとコーチは、1人でいる私に「自分から声かけないといつまでも変わらないぞ」と声をかける。
たまにある、コーチからの決まったこの言葉。

“自分から声をかける”
これがどれだけ大変なことか、この人にはわからないのだろう。

嫌われてる人間が、嫌っている人間に声をかけることの怖さ。
話しかけた時のあの目。
全身から伝わる、関わりたくないという拒絶の念。

いつまでもこうしてても状況が変わらないのはわかっている。
それはわかっているけれど、嫌われている理由がわからない私は、何をどうしたらいいのかわからない。
理由を聞く?そんな勇気あったら是非とも欲しい。

「人数、合わなかったの誰?」
そう輪の中に話しかければ、目配せの後に返事がくる。
「…私。仁菜、向こう行こう」
「うん」

こんな、毎日を私は過ごしていた。
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