月に魔法をかけられて
「美月先輩、なんか雰囲気変わりました?」
カレーの説明をしていたあゆみちゃんが急に私の顔を覗きこんできた。
「なんか色っぽくなったというか、可愛かったのが綺麗になったというか……。あっ、彼氏ができたでしょ!」
「な、何にも変わらないよ。彼氏もいないしいつもと一緒だよ」
内心ドキドキしながら運ばれてきたお水をゴクっと飲む。
「おかしいなぁ。マーケにいたときと雰囲気が違って、なんだか色っぽくてフェロモンが溢れてるんですけど。秘書になるとそんなに変わっちゃうのかな?」
「そんなことないよ。全然変わらないってば。もう、変だよあゆみちゃん……」
「美月先輩、こんなに色っぽいと男の人がほっとかないですよ! ほらっ、あそこのテーブルのサラリーマン、さっきからこっちをチラチラ見てるし……」
あゆみちゃんは視線でそのテーブルを示しながら、ちょうど運ばれてきた人参ドレッシングのグリーンサラダを食べ始めた。半分くらい食べたところでフォークを置き、私を見つめる。
「んっ? どうしたのあゆみちゃん?」
また何か言われるのかとドキドキしていたら、あゆみちゃんは妙なことを口にし始めた。
「美月先輩……、副社長ってどんな様子ですか?」
話の意図がわからず聞き返す。
「どんな様子?」
「やっぱり少し落ち込まれている感じですか?」
「落ち込む? どうして?」
するとあゆみちゃんは私に顔を近づけて、こそこそっと囁いた。
「美月先輩、もしかしてまだあの噂聞いてないですか?」
「噂?」
あゆみちゃんの曇りがかった表情にいろんなことが頭の中を駆け巡り、不安が襲ってくる。
もしかしてあの事件のことが漏れた……?
私の不安そうな表情を見たあゆみちゃんは、目を丸くして口元を押さえた。
カレーの説明をしていたあゆみちゃんが急に私の顔を覗きこんできた。
「なんか色っぽくなったというか、可愛かったのが綺麗になったというか……。あっ、彼氏ができたでしょ!」
「な、何にも変わらないよ。彼氏もいないしいつもと一緒だよ」
内心ドキドキしながら運ばれてきたお水をゴクっと飲む。
「おかしいなぁ。マーケにいたときと雰囲気が違って、なんだか色っぽくてフェロモンが溢れてるんですけど。秘書になるとそんなに変わっちゃうのかな?」
「そんなことないよ。全然変わらないってば。もう、変だよあゆみちゃん……」
「美月先輩、こんなに色っぽいと男の人がほっとかないですよ! ほらっ、あそこのテーブルのサラリーマン、さっきからこっちをチラチラ見てるし……」
あゆみちゃんは視線でそのテーブルを示しながら、ちょうど運ばれてきた人参ドレッシングのグリーンサラダを食べ始めた。半分くらい食べたところでフォークを置き、私を見つめる。
「んっ? どうしたのあゆみちゃん?」
また何か言われるのかとドキドキしていたら、あゆみちゃんは妙なことを口にし始めた。
「美月先輩……、副社長ってどんな様子ですか?」
話の意図がわからず聞き返す。
「どんな様子?」
「やっぱり少し落ち込まれている感じですか?」
「落ち込む? どうして?」
するとあゆみちゃんは私に顔を近づけて、こそこそっと囁いた。
「美月先輩、もしかしてまだあの噂聞いてないですか?」
「噂?」
あゆみちゃんの曇りがかった表情にいろんなことが頭の中を駆け巡り、不安が襲ってくる。
もしかしてあの事件のことが漏れた……?
私の不安そうな表情を見たあゆみちゃんは、目を丸くして口元を押さえた。