月に魔法をかけられて
「おじいちゃんも美月ちゃんに目をつけていたのね。これはもう、美月ちゃんは壮真のお嫁さんになるってことは運命みたいなものね」

「ああ、そうだ。壮一郎の時も、わしの秘書の涼子さんがお嫁に来てくれればいいなと思っていたら、知らないうちに壮一郎がちゃっかり涼子さんに手を出していただろ? 今回もあのパーティーで美月さんに会った時に、壮真のお嫁さんに来てくれたらいいなと思ってたんじゃよ」

「ちょっ、ちょっとお父さん。ちゃっかり涼子に手を出していただなんて人聞きの悪い……。私はきちんと涼子に交際を申し込みましたよ」

社長が顔を赤くしながら会長に言い返す。

「あら、そうだったかしら……? 確かあなたから交際を申し込まれる前に……」

「おい、涼子! 何を言い出すんだ……」

焦った社長の姿に、お義母さんと瞳子さんは大笑いし、副社長は呆れ、会長はしてやったり……という表情をして、啓太くんだけは会長のショートケーキのいちごをこっそりと口の中に入れてニンマリとしていた。


「美月さん、うちはこんな家族じゃよ。壮一郎と涼子も未だにこんなに仲が良くて、瞳子も直人くんと啓太と幸せに暮らしている。だから美月さんも壮真と末永く仲良く暮らして幸せになってほしいと思っているから。よろしく頼むよ」

会長の言葉に、私も大きく頷いた。

「はい。私も壮真さんと一緒に助け合って生きていきます。これからどうぞよろしくお願い致します」

みんなが優しい笑顔で私たちを祝福してくれた。
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