月に魔法をかけられて
それから、1日、2日……と経過したけれど、副社長はそれ以降もあのことに全く触れることなく、何も言ってこなかった。

私は自分からは何も聞くこともできず、いつ聞かれるのかとびくびくしながらも、平静を装って普段通り仕事をしていた。


そして、やっと金曜日の朝を迎えた。

あー、今週は一週間長かったな……。

いつも以上に緊張していた一週間だったせいか、肩も首もバキバキだ。

副社長は朝から大阪へ出張に出かけていて、今日は会社には帰ってこない。

私は昨日までの緊張から解放されたこともあり、来週の会議で使う補足資料を朝からのんびりと作成していた。

今日は夕方から彩矢と会う予定だ。

石川さんとそのあと何か進展があったのかも聞きたいし、私も彩矢に聞いてもらいたいことがある。

副社長は金曜日のこと、どう思っているのか……。

私は作成した資料を確認してプリントアウトすると、副社長室の未決ボックスの中に入れ、定時になるとすぐに彩矢と待ち合わせているお店へと向かった。
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