月に魔法をかけられて
どうしてあのときあの男の顔が蘇ってきたのかわからない。だけどあの日以来、私は男性に近づくことが怖くなってしまった。
普通に話したり仕事をしたりするのは大丈夫だけれど、必要以上にパーソナルスペースに近づかれると、やっぱり恐怖を感じてしまう。だからなるべく男性の近くでは働きたくないのだ。
就職先に化粧品メーカーを選んだのも、理由のひとつとして、化粧品に携わる仕事なら女性が多いだろうと思ってのことだった。
「瞳子さん、私の個人的な理由で本当にすみません。なので私、男性の近くとか男性が多い部署ではあまり働きたくないんです。今のマーケがいいんです……」
過去の出来事を伝え終えた私は、座ったまま大きく頭を下げた。
「そうだったのね。そんな辛い出来事があったなんて……。思い出したくなかったよね。美月ちゃんごめんね。話してくれてありがとう……」
「大丈夫です……」
私は小さく首を振りながら、瞳子さんに視線を向けた。
「美月ちゃん、今の美月ちゃんの話を聞いてね、私はますますこの秘書の仕事は美月ちゃんに受けてもらおうと思ったわ」
「えっ……?」
意味がわからなくて私は眉間に皺を寄せて瞳子さんを見る。
瞳子さん、私の話聞いてましたよね?
私、男性の近くで働きたくないんですけど……。
普通に話したり仕事をしたりするのは大丈夫だけれど、必要以上にパーソナルスペースに近づかれると、やっぱり恐怖を感じてしまう。だからなるべく男性の近くでは働きたくないのだ。
就職先に化粧品メーカーを選んだのも、理由のひとつとして、化粧品に携わる仕事なら女性が多いだろうと思ってのことだった。
「瞳子さん、私の個人的な理由で本当にすみません。なので私、男性の近くとか男性が多い部署ではあまり働きたくないんです。今のマーケがいいんです……」
過去の出来事を伝え終えた私は、座ったまま大きく頭を下げた。
「そうだったのね。そんな辛い出来事があったなんて……。思い出したくなかったよね。美月ちゃんごめんね。話してくれてありがとう……」
「大丈夫です……」
私は小さく首を振りながら、瞳子さんに視線を向けた。
「美月ちゃん、今の美月ちゃんの話を聞いてね、私はますますこの秘書の仕事は美月ちゃんに受けてもらおうと思ったわ」
「えっ……?」
意味がわからなくて私は眉間に皺を寄せて瞳子さんを見る。
瞳子さん、私の話聞いてましたよね?
私、男性の近くで働きたくないんですけど……。