怪事件捜査クラブ~十六人谷の伝説~
「これは、大島さんが荒らしや仮面として投稿し、すぐに削除された動画です。時期的には、子供達を買収し、誘拐されたと親にドッキリ電話をかけさせるという内容の動画を投稿した後です。この誘拐ドッキリで、彼女は大いに世間からバッシングされまして、見向きもされなくなった。なんとか起死回生を図りたかったみたいですね。おそらく、炎上商法を狙ったであろう、これ。タイトルを〝誘拐犯から逃げる少女〟と銘打ってありましたが、最初の書き込みで、警察に通報しますよと書かれて、大島さんはすぐに動画を削除しました」

「お嬢さん、なんでそこまで知ってるんだ?」

 ジャブダルが胡乱な目つきを要に送る。要はふと、鼻で笑った。

「だって、この最初の書き込みしたの、あたしだもん」
「え!?」

 由希も知らなかったのか、声に出して驚いた。

「だから当然、この動画にも、この少女にも見覚えがあります。これは、八年前に行方不明になった前園花華ちゃんですね? 先程のラインのやりとりの中にも、花華ちゃんの名前は登場しました。何があったんです?」
「……」

 田中はしばらく沈黙して、不意に深いため息を落とした。観念したように、その場に力なく座り込む。

「八年前、俺はまだ十八歳だった。免許を取りたてで、当時俺の後輩で彼女だった大島砂奈を連れてここに遊びに来た。今の悪趣味な動画に比べれば可愛いもんだったけど、人を脅かす悪戯が当時も好きで、あの日も他愛もない悪戯をして遊んでた」

 当時を思い出すように、田中は遠くを見る目をした。

「砂奈と酒を飲んでて、無くなったから買い行って来いって命令されて。僕は仕方なく下の村まで買いに行った。適当に買って帰る途中、女の子が急に飛び出してきたんだ。ブレーキが間に合わなくて、轢いてしまった」

「それが花華ちゃんだった?」

「そうだよ。でも、俺がもっと驚いたのは、その場に砂奈がいたことだ。手にはナイフとカメラを持ってた。何してんだって聞いたら、映像を見せられた。逃げ回る女の子の映像だった。砂奈は、必死に言い訳した。ナイフは偽者だ。おもちゃのナイフで脅かして、ちょっと追いかけっこしたらネタ晴らしするはずだった。この子が勝手に道路に飛び出したんだって」

 ふと、田中は自嘲を漏らす。

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