すぐそこに夏空が【中学生日記】

♪キン〜 コン〜 カン〜 コ〜〜ン……
 
 あっという間に、五時限目が終了する。授業中、あんなに静かだったのに、放課後の教室は急に騒がしくなる。
 六時限目が無いだけで、生徒たちは妙に生き生きしていた。


 例の悪友の中心人物が、ニヤニヤしながら戻って来た。

「奈緒の水着……何だと思う?」
「まぁ、地味なワンピースだろ」
「いゃ、意外と大胆な……」

 皆、口ぐちに応える。

「正解は、何と……」
「何?」
「早くぅ」

「正解は…… 」
「うん……」

 皆が固唾(かたず)を呑んで、次の言葉を待っていた。

「水着、持ってない…… でした」
「うゎ、ヤラレタ」

 
 なぜだかほんの少しだけ、ホッとしているオレがいた。
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