そろそろきみは、蹴られてくれ。


「はい、綺麗になった!」


わたしと橘の身長差は23センチメートル。


見上げると、彼は首を傾げていた。


「……チョークの粉」


手を伸ばしかけて、止まる。


彼の茶髪、左側、少しだけついた黄色い粉。


舞ったものが、付着したのだろう。


手を限界まで伸ばして、届かなかったらどうする。というか、みんなの前のこの位置で、ふれてもいいのか。……いや、ふれることに問題があるのなら、みんなの前とか関係ないな。


ぐるぐる。

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