そろそろきみは、蹴られてくれ。


おろすと暑くて、橘のことを疑ってしまった象徴にもなっていて、いろいろと後悔した。


ハチマキをポケットに、髪ゴムを左手首に。縛り直そうと腕をあげると。


「紗奈ちゃん」


パシッ


「え?」

「貸して」


掴まれた。自由のない左手首。熱の集中している左手首。そこから、髪ゴムがさらわれる。

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