そろそろきみは、蹴られてくれ。


「結び直したんじゃ──あっ、えっ、そういうこと?」


そっと、花乃がハチマキにふれる。


「表向き……ね」


表向き? 首を傾げて、思い出した。


『裏側にしておこうね』

花乃の言葉と、


『ハチマキも貸して』

橘の言葉。


「〜っ!」


てのひらで顔を覆う。爆発、しそう。


休憩時間終了のホイッスルと心臓の音がいい勝負だ。


──……あぁ、敵わない。

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