そろそろきみは、蹴られてくれ。


──何をどうするために、行動に悩んでいるのか。それすらもわからない。


花乃を笑顔にするため?


笑顔がすべての正解じゃあなくて。


花乃を泣かせないため?


泣いてダメなはずがない。多くを懸けたのだから。


楽しんでもらうため?


いまの走りが、まったく楽しくなかったのか、わからない。




──……わたしが泣くのは、違う。


最初に泣くのは、わたしじゃない。わたしが泣いたら、ずるいよ。


鼻を啜ると同時に、花乃がこちらに向かって歩いてきていることを確認した。

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