そろそろきみは、蹴られてくれ。
「橘を……応援したいから、わたしがんばるから、その、まってて──!」
せいいっぱいの可愛さ。いまの限界。
橘は「まってる」とつぶやいて、わたしの顔の輪郭を撫でた。
親指のはらから伝わる体温。
きっと、わたしの熱さも、頬からばれちゃうんだろうな。
「おれ、やる気さらにアップした」
「それはよかった、です」
「ふふ、なんで敬語?」
「だって……」
橘がふれてる。そのせいでうまれた、照れ隠しなのだ。
いつまでたっても理由を言葉にできないわたしに、彼は微笑んで。
「ありがとう」
って、声にした。