そろそろきみは、蹴られてくれ。


「橘、ありがとう」


ふたりがお店へと足を踏み出したタイミングで、そっと言う。


「紗奈ちゃんこそ、教えてくれてありがとう。ここ、めっちゃすきな感じ」


軽くくしゃり、と頭を撫でられて。


っ、ありがとうは、わたしのセリフなのに。そういうところも、ぜんぶ、ありがとう。


熱くなっちゃったから……あとで風にでもあたりにいこうと思う。


わたしが行きたいと言ったお店は、小学校の教室をテーマにした場所で、カレーライスや揚げパンなどが売っていた。


小学校6-2、というお店の名前で、教室の壁にはクラスメイト全員の習字の作品、クラス目標、校歌が掲示されている。


すべてが手書き。手づくり。


ええ、すごい……! クオリティが高くて、小学生のときだったらわからないような細かな小学校らしさにテンションがあがる。


絵日記が教卓の上に置いてあったり、学期末のクラスレクのためにと嬉々としてつくった折り紙のわっかが黒板の上を飾っていたり。

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