そろそろきみは、蹴られてくれ。


「……」


しばらくのあいだ、黙って考えるふうな素振りを見せた橘が。


真顔で、前を向いたままに口を開く。




「いますぐ食べちゃいたいくらい愛してるし、毎日スカートの中覗きたいくらい愛してる」




徐々に徐々に。ゆっくりと。


こちらを向いた、その瞳。


「えっ、無理、こわ……」

「本気だよ」


にやり。目が細められ、くちびるが横に、薄く引かれる。


一瞬見えた、白い八重歯。


……くらくらする。

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