そろそろきみは、蹴られてくれ。
「う、わ……!」
ぐん。左手が引っ張られ、ここは──空き教室?
後ろから伸びてきた腕の中、しっかりと抱きしめられる。
その左手が、ドアを閉めた。
わたしにはドアしか見えなくて。
本来ならば自分よりもずっとずっと高い位置にあるはずの顔を、すぐ横に感じるばかり。
「ねぇ、紗奈ちゃん」
はっとした。
ダメだ。これ以上いっしょにいたら。
ダメだよ。これ以上話をしたら。
わたしはぜったいに。