そろそろきみは、蹴られてくれ。


「……おれは、ぜんぜん──手紙、もらう価値もないくらいで」

「わたしが読んでほしくて。これはわたしのわがままなの。……だから、もしよかったら、お願いします」

「……うん、ありがとう」


完全にわたしの手から離れた手紙。


壁と。天井と照明。床。すべてが白。光。


そんな空間と篠山くんの右手の中で、読まれることを待っている。


「また明日な!」


左手を小さくあげた彼に手を振り返すと、彼は遠くへと消えていった。


見えなくなるまで目で追いかけて、わたしも帰ろう。思う。──……。

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