それ以外の方法を僕は知らない

.
.
.



「…あ、えっと、着きました」

「ここ?」

「うん。…ありがとう、本当に」

「…楽しかった。俺こそありがと」

「克真くんが笑うことが知れてよかったです…」

「なんだそれ。普通に笑うよ俺だって」




彼と友達になって1か月。


克真くんの優しさに触れたせいなのか、
“女の子”として見られていると分かったからなのか、

彼が笑ってくれたからなのか。



「またな、音々」



はたまた、はじめて彼に名前を呼ばれたせいなのか。




胸が高鳴る理由は、この時の私にはまだわからなかった。

< 34 / 70 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop