どうして・・

···父の怒り


二人は下を向いたまま
事務員さんが
座るように二人に進めると
新は、一度顔をあげて
「申し訳ありませんでした。」
と、頭をさげる
誰に言ったものか定かではない。

その横で美春も一緒に頭を下げた。

川本のお父さんは、
つかつかと二人の元へ行き
新を殴り倒した。

倒れこむ新に美春がそばに
寄ると
「触るな!!お前が触るな!!」
と、美春を怒鳴り
新の上に乗り新を何発も殴る
川本のお父さん。

殴るお父さんの顔も
そばに立つお母さんの顔も涙で
溢れていた。

美春は、呆然と立ちつくしていた。

何発目かの時に
「川本さん。
そのぐらいにしましょうか?
話ができないと困りますので。」
と、奥菜先生は殴る事を
とがめる事はなかった。

不思議な先生だと見ていると
先生は、私を見て微笑んでくれた。

それから
「では、あなたと池谷さんは
こちらに座って下さい。」
と、言って
川本の両親から間をとって
新と美春を隣同士に座らせ
私には二人の背中しか見えなくなり
それがありがたかった。

だからなのか····
美春は池谷さんなんだ。
と、呑気に考える事もできた。
< 22 / 96 >

この作品をシェア

pagetop