どうして・・
じゅうに

···彩羽ドイツへ


彩羽は····

13時間のフライトを終え
ドイツのローテンブルクに到着した。

ゲートから外に出ると
おばあちゃまの側近?である
矢島さんが手をふっていた。
「矢島さん、お久しぶりです。」
「彩羽様も、お元気そうで。」
「おばあちゃまは、
   お元気してますか?」
「はい。彩羽様のご到着を
楽しみにされております。」
「うふふっ、私も楽しみ。」
「では、参りましょうか?」
と、私のキャリーを矢島さんが
引いてくれて
話をしながら空港から外にでる。

私は、ここローテンブルクが
大好き。
街並みも·····建造物も·····。




お母さんからのラインで
おばあちゃまと電話で話した。

正直、自分の身の振り方に
悩んで疲れていた。

おばあちゃまは、一言
「彩羽、全てを捨てて
おばあちゃまの所に来なさい。」
と、言った。

私は、涙を止めれなくて
おばあちゃまの声を聞きながら
泣き続けて·····
「いく····いくよ····
おばあちゃまの····とこへ····
ドイツへ····」
「ああ、お出で。
おばあちゃま待ってるからね。」
と、言ってくれた。

大好きな、おばあちゃま
いつも私を想いやってくれる。

誰が····悪いわけでは···ない····
だが·····
会社の皆が気に病んでくれれば
くれるほど
いたたまれ·····なくなり·····
気を使われる事に
イライラ····モヤモヤ···が募り
自分の気持ちをどうして
良いのかわからなくなっていた。

異動を願えば·····
ひどく傷ついた顔をされ
退職と願えば·····
まだまだ、下を育てて欲しい·····と

おばあちゃまの一言で
翌日、課長へ
退職届けを提出した。

オロオロする課長に
気持ちを話した。
課長は、
「取り急ぎ保留」
と、言ったが
父が課長に連絡をしたらしい。
「このままでは、娘が壊れてしまう」
と。
課長や職場の人にもだが
「好きな仕事だったから
結婚しても続けたいと
思っていたようですが
今は、全てから解放させてやりたい
と、思っています。」
と、お願いしてくれて
「後の事は私が全て責任を負います。」
と、課長から直ぐの退職を受理された。

私は、皆さんに会わす顔もなく
課長だけに合い
感謝の気持ちを伝えて
皆さんへとお礼を渡して
頭を下げて空港へ向かった。

父と母は、私の我が儘を
優しく見届けてくれた。

奥菜先生の奥様の一華さんと
電話で話して
その事を伝えた。

一華さんは、あの時話した
怜さん事、大賀先生に
「何かあったら相談しなさい。」
と、言ってくれた。

一華さんからも連絡しとくから
と、言っていると
奥菜先生が
俺がするから一華は、怜に関わるな!
と、騒いでる声がして
二人で笑った。
「また、きっと笑顔で
あなたにお会いしたい。」
と、一華さんに言われて
「·····はい。···わたし···も··」
と、話してから電話を切った。

出発の前の夜に
父から手紙を渡され

「彩羽が、読んでも良いと
思えたら読みなさい。
嫌なら、ドイツで捨てなさい。」
と、言われた。

あ~、きっと新からだと
思ったから父には、頷いた。

それから
父と母に
我が儘を通してくれたお礼と
「二人の娘で本当に幸せなの
だけど、少しだけ
疲れたから、おばあちゃまの所へ
逃避させてね。
でも、体だけは気をつけてね。」
と、言うと
父も母も
「「自慢の娘だよ。
おばあちゃまに沢山甘えておいで。」」
と、言ってくれた。
< 50 / 96 >

この作品をシェア

pagetop