どうして・・

···一華にお願い


そんな生活も一年、二年と
過ぎて行き·····

律は、思うように仕事も進み
自信がついたと判断したのか
高田さんと起業した。

場所は、悩んでドイツに決めた。

律は、私がいたからかドイツ中心に
仕事をしていたが
高田さんは、イギリス・イタリアを
回っていた。

元からあちこち開拓していたと。
ドイツ・イタリア・イギリス・フランス・
ノルウェーの仕事を取り
各国に信頼する建設会社を見つけて
クライアントと話し合う。

高田さんが所長さん
事務所名は·····
« シェーン・ビューロ »
(美しい物を作る事務所と言う意味合い)

律の他に2名一級建築士がいる。
❬日本と海外では違うかもしれません❭

後は、顧問弁護士
これは、怜さんに決まっていた。
怜さんのいる事務所も大きく
かなり優秀な弁護士さんが多いらしい。

怜さんの事務所の所長も
一華さんに私の事を頼まれていたみたい。

私は、律と高田さんに頼まれて
二人の会社の事務をやることになった。

なんだか、二人に流されたような。
でも、毎日すごく楽しかった。

高田さんは、日垣と呼び
律は、彩羽と呼んでいた。
後のお二人は
イタリア人のチーロ(男性)35歳
イギリス人のグレース(女性)28歳
高田さんのデザインに魅了された
建築士だ。

二人は、律のデザインを初めて見た時
いたく感動していた。

おばあちゃまも知人達に
律達の会社を宣伝してくれた。
ドイツで律がデザインした
レストランは、かなり評判を呼び
訪れる人も多かった。

律は、一緒に帰れる日は私と帰り
忙しい時は必ず矢島さんに
迎えを頼んでいた。

一人で帰れると言うが
まったく聞く耳を持ってくれず。

チーロとグレースからは、
一緒に住んでいるなら夫婦か?
と冷やかされたり
でも、見んな仲良しで楽しい毎日だった。

毎日が流れて行く中で
彩羽は、一華にお願い事をしていた。

それは、高田さんの恋人であった
山口 理恵(やまぐち りえ)さんを
探してもらえませんか?と言う内容で。

もし彼女が幸せなら、それで良い。
だけど、まだ、高田さんを
想っているように
彩羽は感じていたから
そう一華さんに話した。

彩羽は、
律を救ってくれた
高田さんの力に少しでもなりたかった。

高田さんは、本当に良い人だから。

律も高田さんも日本へ行く暇もなく
起業してから働き詰だった。

彩羽は、この事を律にも話していない
見つからなかったら
見つけても幸せを掴んでいたら
高田さんに傷をつけるから。

一華さんは、
「やれることをやりましょう。」
と、言ってくれた。

一華さんの優しさに
本当に感謝してもしきれなかった。
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