契約ウエディング~氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う~
「それは…貴方がお兄ちゃんの友達だったからよ」
浩平兄は俊吾さんと同級生。

父は長谷川家の邸宅に焼きたてのパンを定期的に配達していた業者。
私も父の車に乗って、邸宅に良く足を運んでいた。

浩平兄の友達と言えば、やんちゃなタイプばかり。
地主の俊吾さんは優等生タイプで、私には大人びて見えた。

その日も、父の車の助手席に乗り込み、長谷川邸に向かった。

父がシェフの逢沢さんと話をしている間。
私は広い裏庭を散策。でも、私は方向感覚を失い、迷子になった。

心細く、泣きそうに右往左往していた私を見つけたのが俊吾さんで。

「見つけたぞ。杏南ちゃん」

「あ…俊ちゃん!?」

私は彼に抱きつき、泣きじゃくった。
「怖かったのか?」

「うん・・・」

私はメソメソ泣く私の頭を優しく撫で回し、慰めてくれた。

浩平兄は気の強い私が気に入らないらしく、良く苛められていた。
だから、浩平兄の友人に対しては俊吾さん以外悪い印象しかない。
< 11 / 224 >

この作品をシェア

pagetop