契約ウエディング~氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う~
黒崎さんが邸宅に戻り、二人っきりになると俊吾は急激に甘い雰囲気を漂わせる。
ソファに座る彼は膝の上に乗るように言った。
私は恐る恐る膝の上に乗った。
すると私の後頭部に手を回し、顔を近づける。
「杏南…愛してる」
とびっきり甘いテノールボイスが鼓膜の奥を震わせた。

幾度も落とされる甘美なキス。
その水音だけが辺りに響き、全身が熱くて蕩けていく。

「昨日の今日なのに…性急でゴメン…杏南」

「俊…吾」

「でも・・・俺は君が欲しい…」

「貴方となら大丈夫…」

自分の本能に戸惑いながらも私を求める彼。

私は彼が愛しくて堪らなかった。彼と一つになりたいと思った。






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