契約ウエディング~氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う~
母の死
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私は勤務中に食堂の蛍光灯を取り替えながら大欠伸をしてしまった。

「お疲れのようね…長谷川さん」

私と一緒に蛍光灯を取り替える手伝いをしていたお局の香川さんが呟く。

「そうですか?」

「疲れが顔に出てるわよ…」


「あ…」

「新婚は大変ね…」

「ははっ」
私は笑って流した。

やはり、これは夜のせいか…
今まで、世の中の新婚さんと違っていたから、さすがに毎日の営みは肉体的に無理だと身を持って知った。
「大変よ!!」

後輩の足立さんが食堂の飛び込んで来た。

「長谷川さん…実家から電話があって…お母さんが危篤状態だって…」

「えっ?母が?」

「長谷川さんの代わりは私が引き受けるから…」

「ゴメン…足立さん」

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