契約ウエディング~氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う~
「ただいま」
俺が部屋に戻るとキッチンには黒崎と杏南が立って、夕食の準備をしていた。

「お帰りなさいませ。俊吾様」

「お帰りなさい。俊吾さん」

「ん、あ・・・ただいま」
昨日までは俺を迎える人間は黒崎一人だった。彼女に迎えられると何とも言えない歯がゆいキモチが湧き上がる。

「今日は杏南様の手作りカレーですよ…」

「あ…匂いで分かるよ。着替えて来る」

俺は着替えようと寝室に向かった。

キッチンに立つエプロン姿の杏南を見ていると俺も結婚したんだと自覚した。

コンコンとノックして黒崎が入って来た。

「夕食の支度終わったので、俺は帰りますね。俊吾様」

着替える俺に話し掛ける黒崎。

「あぁ~」

「それよりもハネムーンがどうするんですか?」

「ハネムーン?あ…今からキャンセルしても、全額返って来ないだろ?」

「でも・・・私はハネムーンには同行しませんよ。二人で大丈夫ですか?」




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