身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
「佑杏」
ずっと手を握らせてくれていた晴斗さんの声が私を呼んで、汗だくの顔を向ける。
「お疲れ様。ありがとう」
心のこもった優しい声にホッとする。
「晴斗さん、良かった……生まれたよ、生まれた」
上手く言葉にできなくて、代わりに繋いだままの手を握り締める。
晴斗さんはその手を両手で包み込むようにしてくれた。
いつの間にか現れていたらしい担当医の女医が、出産後の傷を縫合し始める。
ところが、立てている両脚ががくがくと震えて止まらない。
「すみません、なんか、脚が震えて……」
自分の意思では動きを止められず謝ると、主治医は慣れたことのように「大丈夫よー」と言う。
晴斗さんが真横に来て、黙って私の太腿を撫でてくれた。
「あれだけ力を入れてるから痙攣してるんだよ」
「そっか、それで……」
やっと少しずつ落ち着いてきて、ふとさっきまで叫び声が止まらないくらい痛かった、陣痛のあの壮絶な痛みから解放されていることに気付く。
それはもう不思議なくらいすっきりとなくなっていて、過ぎ去った嵐のあとの快晴のようだった。