身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
「杏莉ー! 少し見ないとすぐ成長しちゃうよね、この時期」
ベビーベッドに寝ている杏莉を覗き込んだお姉ちゃんが、「久しぶり~」と慣れた手つきで抱き上げる。
私は未だに抱っこするのも慎重になってしまうから、やっぱり日常的に赤ちゃんに触れているお姉ちゃんは慣れたものだ。さすが助産師。
「でも、一か月健診でも問題なかったし、良かったね。安心したよ」
「うん。晴斗さんが育休までとって一緒にいてくれたから、そのおかげだよ」
しみじみそう言うと、お姉ちゃんはうんうんと頷く。
「ほんと、成海先生パパの鏡だね。世の男性に『これが見本です!』と見せてあげたいもんだよ」
「やっぱり、育休とかとる男の人って少ないの?」
「少ない少ない! それどころかワンオペ育児なんてざらだよ。まぁ、なかなか世の中的に男の人の育休ってまだまだ浸透してないのもあるんだけどね」
「そうなんだ……」
そういう話を聞くと、本当に私は幸せ者なんだと改めて実感する。
「まぁ、それだけ愛されてるってことでしょ。成海先生見てればわかるもん」
お姉ちゃんはにやりと笑って「羨ましいよね~」と杏莉に話しかけた。