Pride one
「大丈夫、これは一生さん承認済みだから。だって『ファーストキスはゆずがいい』ってずーっと思ってたんだから」

「まじで言ってんの?」
 願いを叶えてやってくれ、にはこんなものまで含まれているのか。優月は驚いたが、今更四の五の言う気はなかった。

「早く。人がきちゃうよ」
 美波は急かした。

「……なんかすごく緊張するんだけど」
 軽い言葉を吐き出してはみるものの、鼓動はスピードを増していく。相手にもその緊張が伝わるようだった。美波の喉が動く。首を少し傾けて、目を閉じるのも忘れたままゆっくりと唇を合わせた。

「ゆず、ありがとう。いまわたしの夢がひとつ叶ったよ」
 美波はかみ締めるように言った。

「一生さんはね、狭い世界で生きていたわたしに、たくさんの大切なことを気付かせてくれた人なの。これから先、もっともっと好きになっていくと思う。そんな予感があるんだ。わたし、必ず幸せになるよ。だから、ゆずも……、いつか誰かと――」

 また瞳に大粒の涙を浮かべ、美波は言葉を飲み込んだ。
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