はなうらない

にこりと微笑まれて、安堵する。

「ありがとうございます。そういえば稲村さんって今日はお休みですか?」
「え? あ、もしかして」

籾野さんの顔色が変わった。瞬間、嫌な予感を覚える。

「聞いてませんか……?」
「えっと、何を」
「稲村さん、少し早めに産休に入られたんですよ。引継ぎ終わらせたと聞いてたんですけど」
「終わらせ……てないですね、うん」

私もこちらで直接引継ぎが出来ると思っていたので、事前に連絡を取ろうともしていなかった。
どういうことだ。
上司もそんなことを言っていなかった、ということは私が有休に入ってからそれが急に決まったのかもしれない。

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