贅沢な寂しさ ~身分違いの結婚

どうにか 外堀が 固まって。

10月に 結婚式を決めて。


私は 結婚式までは 仕事を続けることにした。

アパートを 引き払った私は 悠樹と一緒に 暮らし始めた。


私達は ただ幸せで…

幸せなだけの 2人の生活に 夢中だった。


毎朝 一緒に 会社に向かい。

先に帰る私は 夕食を用意して 悠樹を待つ。


悠樹の仕事が 早く終わった日は 

待ち合わせをして 外食する。


休日は 2人で 出かけて。


私は 悠樹との生活に 不安を感じなかったし。

悠樹は いつも笑顔で 私のいる家に 満足していた。


買い物に行くと 悠樹は 

私に 高級な洋服を たくさん買ってくれた。


「悠樹さん。そんなに いらないよ…」

最初 私は 気後れして 断ったけど。

「いいの。明日香には いつも綺麗で いてほしいから。」

洋服だけでなく 靴やバッグ、アクセサリーなど

私が 身に着ける物を 次々 買う悠樹。


それまで 私が 買ったことのない 高価な物に

戸惑って 遠慮していたけれど。


悠樹のパートナーになるって こういうこと?


私は ハッと気づく。


悠樹と一緒にいて 恥ずかしくない女性。

地味な堅実さは 悠樹の妻として

何の価値も ないことだって…


だから 私は 悠樹の望むように

身なりを 整え始めた。


それは 大きな転機で…


変身していく私に みんなが 目を見開いた。






 

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