贅沢な寂しさ ~身分違いの結婚

身に着けるものが 変わっただけで

私の雰囲気は 急に 高級感が増す。


なにより 悠樹に 愛されている自信が

私を 輝かせていたから。


職場の人が 驚くほど 私は 綺麗になっていた。


「副社長 人を見る目 あるなぁ。ダイヤの原石を 見つけ出したみたいだ。」


会社で そんな声を 聞くことを

悠樹は 嬉しそうに 私に話してくれた。


悠樹の妻に なるということは

今までの常識を 捨てること。


それに 気付いた私は 不安だったけど。

いつも悠樹が そばにいてくれたから。


一つずつ 悠樹に確認して

悠樹の妻らしく 振舞う努力を 始めた。


「明日香。その髪型 良く似合うよ。」

それまで 無造作に束ねていた 長い髪を

肩までの セミロングに切って

毎日 丁寧にブローするようになって。


「あのね。美容師さんに 似合う髪型にしてくださいって お任せしたの。変じゃない?」

「すごく似合っていて…ちょっと心配。」

悠樹は そんな風に言って 笑った。


「えっ?どうして?」

「最近 明日香 どんどん綺麗になるから。俺 焦っているんだ。」

「やだ…もし 私が 変わったなら それは 悠樹さんのおかげよ。」

「明日香が 綺麗になるのは 嬉しいんだけど。1人で 外に行かせるの 不安で。本当は 箱に入れて しまっておきたいくらいだよ、明日香のこと。」

「フフッ。箱入り娘…?」

「そう。箱入り奥様。」


悠樹に 相応しい女性になりたい…

一緒にいて 悠樹が 恥ずかしくないように…


まずは 外見を変えて、言葉遣いや 動作も。

少しずつ 成長していこうって

私は 前向きな 意気込みで いっぱいだった。








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