君が好きになるほど、切なくて苦しくて。


「じゃあ20分、休憩」


顧問の先生の声で、グラウンドにいた部員が日陰に集まってくる。マネージャーの私……古賀希衣(こが きい)は、部員たちに紙コップに入ってるスポーツドリンクを手渡していく。



「お、ありがとう〜」

「お疲れ様です……」


一番最後に来るのはいつもここのエースの西澤薫(にしざわ かおる)先輩。薫先輩は、2年生で副部長。そして、私にとって初恋で片想い相手だ。

3年の先輩方に「お疲れ様です」と声を掛け、下級生にも「お疲れな〜」と声を掛けて順番を譲ってから最後に来る。


「古賀(こが)ちゃん、これもお願いできる?」

「はい、分かりました」


マネージャーは現在、私ひとりだ。だから少々大変だけど……頑張れる。だって、西澤先輩の近くにいられるから。
大変さなんて気にならない。




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