君が好きになるほど、切なくて苦しくて。
「氷足して来まーす」
私は中の麦茶が残り少ないからとウォータージャグを「よいしょ」と両手で持ち上げて、家庭科室に向かう。
「古賀ちゃん、それ……大丈夫?」
「おはようございます、飯泉(いずみ)先輩。大丈夫ですよ」
飯泉先輩は、家庭科部唯一の男性部員で西澤先輩のお友達だ。
「そう? 一緒に持ってこうか?」
「慣れてるので平気です」
「んー……やっぱり心配だし、俺も持つよ。薫に用もあるから」
飯泉先輩は私が持つウォータージャックを奪い取り、グラウンドのベンチに運んでくれた。
「ありがとうございました、助かりました。」
「いーよ。そうだ今度の日曜日くるよね?」
今度の日曜日? なんかあったっけ……。
「家庭科部がおもてなしするバーベキュー大会で、日曜日は野球部とサッカー部とバスケなんだよ」