世界が終わるとき、そこに愛はありますか

亀裂

「……早いな」


翌朝、一足先にトーストを食べていたら、深景さんが起きてきた。


「…うん……。あんまり寝れなくて…」


「そ」


味気ない会話だったけど、じんわり胸が温まる。


「……そのジャム、消費期限が近いから使ってほしい…な…」  


「…わかった」


いつにも増してぎこちない会話で、いつもよりも気まずい朝食だった。


トーストをかじるサクサクした音や、コーヒーの香りを強く感じる。


「……あの、深景さん」


「…何」 


相変わらず仏頂面で、声のトーンも低いけど、目は合わせてくれた。


そんな些細なことで嬉しくなってくる。


「本当にごめんなさい…。深景さんの優しさを全部ムダにするような行動をして、本当にごめんなさい」
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