切ないほど、愛おしい
医大を出て医者になった私だけど、育ててくれたお兄ちゃんは高卒。
我が家の苦しい家庭事情のせいか、定時制の高校を卒業してすぐに社会に出た。
母さんが死んだ時にはちょうど二十歳で、会社を始めた頃。
それから10年以上働きながら私を育ててくれた。
「ねえ、誰かくるの?」
私が頼んだ料理以外に何品もの皿がテーブルに並び、さすがに2人の量ではないと思った。
「友達」
「へー」
珍しい。
お兄ちゃんの友達なんて、会ったことない。
正直、お兄ちゃんがどんな仕事をしているのか、私は知らない。
本人は『なんでも屋』なんて言っているけど、詳しくは言いたがらないし、私も聞こうともしない。
そんな暗黙のルールの中で、暮らしてきた。
「あー、来た」
入り口に向かって手をあげたお兄ちゃん。
私も自然とそちらを向いた。
えっ。
・・・嘘。
近付いてくる人を見て、私は動けなくなった。
だって・・・
「よぅ徹、久しぶり」
私の動揺に気づくはずもなく、お兄ちゃんは男性に声を掛けた。
我が家の苦しい家庭事情のせいか、定時制の高校を卒業してすぐに社会に出た。
母さんが死んだ時にはちょうど二十歳で、会社を始めた頃。
それから10年以上働きながら私を育ててくれた。
「ねえ、誰かくるの?」
私が頼んだ料理以外に何品もの皿がテーブルに並び、さすがに2人の量ではないと思った。
「友達」
「へー」
珍しい。
お兄ちゃんの友達なんて、会ったことない。
正直、お兄ちゃんがどんな仕事をしているのか、私は知らない。
本人は『なんでも屋』なんて言っているけど、詳しくは言いたがらないし、私も聞こうともしない。
そんな暗黙のルールの中で、暮らしてきた。
「あー、来た」
入り口に向かって手をあげたお兄ちゃん。
私も自然とそちらを向いた。
えっ。
・・・嘘。
近付いてくる人を見て、私は動けなくなった。
だって・・・
「よぅ徹、久しぶり」
私の動揺に気づくはずもなく、お兄ちゃんは男性に声を掛けた。