切ないほど、愛おしい
「じゃあ、麗子さんもお兄ちゃんの同級生ですか?」
「そうよ」

空いていた私の隣に麗子さんが座り、お互いの自己紹介を済ませてテーブルを囲んだ。

「名字を聞いただけで妹ってわかったんですか?」
「うん。目元とか、陣に似ているから」

ふーん。
そうなんだ。
今までお兄ちゃんの知り合いに会う機会がなかったから、初めて言われた。

「お前、時間いいのかよ」
いかにも行ってくれと言いたそうな徹さん。

「大丈夫。孝太郎とは昼に待ち合わせているの」
面白そうに徹さんを見る麗子さん。

「仲がいいんですね」
こんな綺麗な人に敵うわけもないけれど、なんだかモヤモヤした気分になってしまった。

「あのね、私も鈴森商事に勤めているのよ」
麗子さんが私の方に視線を向けた。

「こいつ、うちの専務の婚約者なんだ」
徹さんが説明してくれる。

でも私はそれ以上に、徹さんが麗子さんをこいつって呼んでいることに引っかかった。

「鈴森商事の専務って、徹さんが一緒に育ったって言っていた社長の息子さん?」

「ああ」

って事は次期社長。
凄ーい。
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