初恋のキミに、さよならを【番外編】
【桜 side】
新しい学校に転入して、2週間が経ったある日の放課後。
私は、教室のベランダの手すりに寄りかかって空にぽつんと浮かぶ入道雲を眺めていた。
『おーい、桜! こっち来いよ!』
『おいでよ、桜』
笑顔のりくと美咲が私を呼ぶ声は、今はどこにもない。
クラスにはだんだん慣れてきたけど、やっぱり、りくと美咲がいないのが寂しい‥‥‥
「なに、泣きそうな顔してんだよ」
「あっ、雫井くん」
私の隣に来た彼の名前は、雫井 麗央(しずくい れお)くん。
背が高くて制服の白いシャツを第2ボタンまで開けている。
それに、髪は金髪で片方の耳にはキラリと光るピアスをつけていてチャラそうに見えるけれど、これでもクラスの学級委員。
それで、引っ越してきたばかりの私に学校案内をしてくれた。
先生に頼まれてだけど。