きみに ひとめぼれ

1年から順にバトンがつながれて、3年生がアンカーで走る。

だけど、メインはほぼ僕たちの学年だった。

なんと言っても広瀬と本田がいるのだから。

女子たちの歓声の色が一気に変わる。

この二人がスタートラインに並んだ瞬間から、運動場はアイドルのコンサート会場のようになる。

その中に、あいつもいた。

何だか場違いのようだけど、それは、去年と何も変わらない光景だった。

僕も去年と変わらず、委員会の仕事としてリレー選手の誘導係をしていた。

走ってくる順番に、次の走者をスタートラインに並ばせる仕事だ。

それだけの仕事と思われるけど、これが結構大変なのだ。

代表に選ばれるくらいの俊足を持つ男たちが、ほんの数秒でグラウンドを一周してくる。

その戦いはすさまじい。

混戦になれば、次の走者の並びもこちらの正確なジャッジが求められる。

次は何色のはちまきが来るのか、ぎりぎりまで見守り、次を送り出すのが僕たちの仕事だった。

こんなせわしい仕事をしながら、僕はこの戦いを間近で見ることになった。


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