きみに ひとめぼれ
あいつの健闘もあって、一位は赤だった。
みんなに称えられて、体を支えられて、あいつは退場門をくぐっていった。
僕も仕事を終えて選手控え席に行くと、あいつはまだ「はあ、はあ」と呼吸を荒くしていた。
ペットボトルを大きく煽って、すがすがしい顔をしている。
「大丈夫かよ」
「おう」
短く返事をしたあいつは、少し笑っていた。
本当に大丈夫そうだ。
「全速力なんて、らしくないなあ」
「そうだろ。本気出してやった」
「出しすぎじゃない?」
ふっとあいつが笑う。
こんなに苦しそうなのに、なんだか満足そうだった。
「勝見くーん」
後ろから甘ったるい声がして、あいつと一緒に振り返ると、応援団の女性陣がやってきた。
さらしを巻いた上から法被を着ただけの格好で、目のやり場に困った。
その中に、吉川さんがいたんだ。
かわいらしいのに、そんなセクシーな格好もよく似合っていた。
「すごかったよ。かっこよかったー。よくやった」
そんな風に褒められても、あいつは「あ、どうも」と言うだけだった。