無気力さんと同居するらしい



「俺、梓のこと好きだよ」

……え

「私も…好きだよ?」

「そうじゃない。分かるだろ?」

……


「…梓のことが好き。付き合って欲しい」

恋愛感情の…好き

蒼馬の目がそう言っている


付き合いたいと思う好き

友達の好きじゃない

恋愛の好き


蒼馬のいつになく真面目な目に、熱を持った頬に
胸が締め付けられる

「今すぐ返事して欲しいわけじゃない。ただ言っておこうと思って…手遅れになる前に」

手遅れ?

蒼馬のその言葉にどんな意味があったかは分からなかったけれど


それよりも…

…どうしてだろう

なんで、恋愛って言葉を聞いて、好きって言葉を聞いて

連想されるのが

目の前にいる…蒼馬じゃなくて

…っ


静かに脳内を横切るのは無気力な同居人の顔

真琴くんなんだろう


なんで真琴くんなの?

ダメだよ私

蒼馬がせっかく想いを打ち明けてくれたのに

こんなの失礼だよ


…なのに

わかっているのに


< 175 / 317 >

この作品をシェア

pagetop