無気力さんと同居するらしい



「なあ、梓」

「ん?」

カフェからの帰り道

不意に蒼馬がつぶやいた

「同居生活ってどれくらい続くの?」

えー
どのくらいだろう

正直私にもわからない

「ちゃんとした期間はわからないかな」

「…ふーん」


そうね

本当にわからない

いつまでこの生活が続くのか

私はその生活の変化を、どう受け止めるのか


「あ、じゃあ私ここで」

最寄りのスーパー前で足を止めた

しかし

「…蒼馬?」

蒼馬が下を向いて固まっている

と思いきや

「はぁぁぁぁ」

ええぇ?

唐突に盛大なため息をこぼし、その場にしゃがみ込んでしまった蒼馬

なになにどしたの?


「…帰したくねぇ」

…へ?

「帰るって言ったって織原真琴のとこだろ?」

そ、そうだけど

「そんなに嫌い?」

「…嫌いだけど…それだけじゃないよ理由は」

ん?


「梓だから帰したくないの」

…え

「どういうこと?」

蒼馬のいつもより真剣な目

「梓だから…俺は」

「…蒼馬?」


…お互いの視線が絡みあい、離れない

心臓がどくどくと血を送り出す感覚がはっきりとわかる

「…」

蒼馬は一度深呼吸をして、もう一度さっきの空気を作り直した

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