溺愛全開、俺様ドクターは手離さない
努力は報われる。それは本当でもあるし、嘘でもある。
だからといって、なにもしなければ願いは叶わない。小さい頃から「無駄な努力」といわれてきたことも、「継続は力なり」でどうにかなることだってある。
今、わたしはそれを身を以て感じている。
クリニックの玄関に立って、和也くんが出てくるのを待つ。さっき真鍋さんと川久保さんが「お疲れさまです」と出てきたから、きっともうすぐのはずだ。
木陰に隠れて彼を待っているのは、真鍋さんたちがわたしのことを本当にストーカーだと勘違いしてはいけないからだ。
まあ、やっていることは完全にストーカーそのものなんだけれど。
あれこれ考えているうちに、予想通り和也くんが出てきた。それを見たわたしは飛び出したが、和也くんは特段驚いた様子でもなかった。
「あれ? びっくりしないの?」
「ああ、どうせ待ってると思ってたから」
そうだった、彼にとってこれはいつものことだから。
さっさと歩き出した和也くんの後を追いかける。
「でも、面接のときはさすがに驚いたよね?」
あのときの驚いた顔の和也くんを思い出して、胸がキュンとする。わたしの和也くんメモリーの中でも上位に入るほどいい表情だった。
まとわりつくようにして彼の隣を歩いていたわたしは、急に足を止めた和也くんをニコニコと眺める。
彼のほうが三十センチ近く背が高いから、こうやっていつも見上げることになる。この距離感がとてつもなくいい。
「ああ、お前のしつこさには心底驚いたよ」
「え? なんだそんなこと?」
あははっと、声をあげたわたしを和也くんが睨む。
あれ、ちょっとご機嫌斜めなのかな?
「お前の執念深さは十分わかっていたつもりだったけど、まだ俺のこと諦めてなかったのか」
「それは、もちろん!」
だからといって、なにもしなければ願いは叶わない。小さい頃から「無駄な努力」といわれてきたことも、「継続は力なり」でどうにかなることだってある。
今、わたしはそれを身を以て感じている。
クリニックの玄関に立って、和也くんが出てくるのを待つ。さっき真鍋さんと川久保さんが「お疲れさまです」と出てきたから、きっともうすぐのはずだ。
木陰に隠れて彼を待っているのは、真鍋さんたちがわたしのことを本当にストーカーだと勘違いしてはいけないからだ。
まあ、やっていることは完全にストーカーそのものなんだけれど。
あれこれ考えているうちに、予想通り和也くんが出てきた。それを見たわたしは飛び出したが、和也くんは特段驚いた様子でもなかった。
「あれ? びっくりしないの?」
「ああ、どうせ待ってると思ってたから」
そうだった、彼にとってこれはいつものことだから。
さっさと歩き出した和也くんの後を追いかける。
「でも、面接のときはさすがに驚いたよね?」
あのときの驚いた顔の和也くんを思い出して、胸がキュンとする。わたしの和也くんメモリーの中でも上位に入るほどいい表情だった。
まとわりつくようにして彼の隣を歩いていたわたしは、急に足を止めた和也くんをニコニコと眺める。
彼のほうが三十センチ近く背が高いから、こうやっていつも見上げることになる。この距離感がとてつもなくいい。
「ああ、お前のしつこさには心底驚いたよ」
「え? なんだそんなこと?」
あははっと、声をあげたわたしを和也くんが睨む。
あれ、ちょっとご機嫌斜めなのかな?
「お前の執念深さは十分わかっていたつもりだったけど、まだ俺のこと諦めてなかったのか」
「それは、もちろん!」