【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜

りっちゃんと話し込んで数分後。カフェに雄太はやって来た。

大学生って何で皆量産系の恰好をするのだろう。芸能界という余りにも自分とはかけ離れた人種ばかり見ているせいか、感覚がバグっているのだろうか。

きっとこっちが正しいのだろう。雄太も決して派手な顔立ちではないが、爽やかでモテそうな印象。対して雄太が連れて来たりっちゃんに紹介するであろう友達も、今流行りの感じの爽やかな男だった。


名は、隼人(ハヤト)くんと言うらしい。アッシュブラウンのマッシュの髪型が特徴的だった。

黒髪短髪の雄太とは対称的だったが、今時のする感じの隼人くんを、りっちゃんが直ぐに気に入ったと分かったのは彼女の表情を見れば分かる。

私、男のマッシュって嫌いなんだけど。雄太と同じくらい背の高い隼人くんは雰囲気も見た目もかっこいい。これで法学部だなんて、雄太の大学はレベルが高いのかもしれない。

少しだけカフェでお話をして、大学生らしく居酒屋に行こうって話になった。

絶対に飲まないと決めたし、りっちゃんにも釘をさされた。また泥酔して迷惑かけたくないし、ましてやお持ち帰りされたら生きて行けない。

「棚橋今日のワンピース可愛いね。この間買った奴?」

居酒屋に向かう途中、雄太は私の隣に並んで少し身を屈めて耳元でさらりと褒める。

「あはは~まあね~」

「棚橋は背が高いからそういうワンピースがよく似合うよ」

お世辞だお世辞。本気にしてはいけない。話をさり気なく変える。
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