若きビル王とのエキサイティング・マリッジ
「ああ」


そうか、もう断りの電話をしてきたのか、と納得し、まあ当たり前よね、と頷く。
けれど……


「向こう様はお前と、『また会いたい』と仰っておられた。なかなかどうして、今日は興味深かったそうだぞ」

「えっ!?」


嘘っ!と声を発しそうになるが慌てて口を閉じる。

私は彼の名前を思い出せなかっただけでなく、勝手に庭の中へ入り、相手を放置したまま写生を始め、デザイン画を描き続けていたなんて、とても祖父には話せないと思ったからだ。


「あの、お祖父さん…」

「いやー、良かったなぁ。これで生きてる間に、曽孫の顔が望めるかもしれない」


間違っても百歳まで生きれそうなくらい矍鑠(かくしゃく)とした祖父の顔を見つめ、いやいや、それは幾ら何でも…と苦笑いする。



しかし、あの人は一体何を考えているんだ。

私は彼のことを「権三さんの孫」と言っただけでなく、非常識な行動をとって無視した上、デザイン画をただ描き続けていただけなのに。


(本当に何をどう思ったら、今日のことが興味深く感じられるの?)


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