若きビル王とのエキサイティング・マリッジ
「私…悠大さんの側で生きていってもいいですか?
着物のことしか知らないし、暖簾を守っていく義務のある私だけれど、それでも貴方の妻として役に立てますか?ビル設計のことは何もわからないけれど、それでも一緒に生きていいですか?」


昨夜彼は、それでいいと私には言ってくれた。
お互いのことを、少しずつ理解し合っていけばいい……と。


じっと見つめて返事を待つ。
そんな私を彼は黙ったまま見返し、困ったように微笑んでこう告げた。


「俺は暖簾を守ろうとする香織の決意が好きなんだ。自分のデザインを作り上げ、それを発信していこうとする前向きな姿勢も尊敬する。
そういう香織を見ると自分もやらなきゃ…って気にさせられるし、負けてられない…って気持ちにもなる。
そうやって俺達、自分達の世界を守りながら寄り添っていけばいいんじゃないか。
お互いのいいところを褒め合って、少しずつ高め合っていけばいい。
…だから、俺の方こそ改めて香織に言いたい。
俺と結婚して欲しい。俺の側で生きていって欲しい」


「いいか?」…と不安げに問われるから、「はい!」と力強く返事をしてしがみ付く。

< 132 / 137 >

この作品をシェア

pagetop