若きビル王とのエキサイティング・マリッジ
さっきまでドアの側に立っていた男性のことを引き合いに出して気にする。

入室前はあれほど電話の相手に対して大きな声で怒鳴っていたくせに、頭の上がらない人もいるのだな…と思うと可笑しくて、つい吹き出しそうになってしまった。


くくっと笑いを堪えて見返せば、彼は神妙な顔つきで、(早く答えろ)と思っているみたい。
だから、何となく意地悪したくなり、わざと困ったように俯いた。



「……いいですよ。私で良ければ、ご一緒しても」


ワンテンポ遅れて答えると、ホッとしたように顔が緩む。

それを見ながら、自分もこの人ともう少し話したい…と感じてしまい、何故だかわからないけれど、自分のことを否定せず、真面目に共感してくれた彼に対して嬉しさまで覚えていた。



彼と一緒に向かった先は、ビル内にあるフレンチレストラン。
そこはとても高級なお店で、海外のVIPや芸能人もお忍びで来る…と噂されている場所なのだが……。


出てくる料理は全て和の食材を使い、味付けも和食に近い感じのものだったから驚いた。

それが洋食器のプレートに盛られて運ばれてくるのだ。だから余計に面白くて興味深い。


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