カフェの店員はデートします!
「い、いえ!私は歌に自信がないので遠慮します!!」

私はそう言うけど、マイクを無理やり握らされる。そして天宮さんに耳元で「早く俺のために歌えよ」とイケボで囁かれ、力が抜けてしまった。

「わ、わかりました……。一曲だけですよ?」

「おっ、歌ってくれるの?嬉しい!」

私がそう言うと、天宮さんの顔は先ほどまでの意地悪な笑顔じゃなくて優しい笑顔に変わる。表情や声があんなに変わるなんてさすが声優、と思いながら私は適当に好きなボカロ曲を入れた。

「私の恋を悲劇のジュリエットにしないで。ここから連れ出して。そんな気分よ」

天宮さんに聴かれている、そう思うと緊張して声が震えちゃいそうになるけど、友達とカラオケに行った時のように歌えるよう意識する。今のところは音を外していない。

「全部見せてよ。あなたにならば見せてあげる私の……」

恥ずかしいと最後まで思いながら、何とか最後まで歌うことができた。緊張で未だにバクバクする胸を押さえていると、「ねえ」と天宮さんに声をかけられる。
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